南風通信
目に見えないものの時代
2022/12/26号
◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆【今週の言葉】・・ 目に見えないものの時代
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こんにちは。戸敷進一です。
いよいよ2022年の終わりです。
いつも本メルマガをお読みいただきありがとうございます。
初めて企業を訪れる時、無意識のうちに様々なチェックをします。
看板の建て方、看板の綺麗さ、駐車場の佇まい、玄関先の佇まい。
ドアを開け事務所に声をかけたときの事務員さんの態度、接客カウンター の状態、壁に貼られた、ポスター類の内容、受付で名刺を差し出したとき の担当者リアクション、案内された応接室や会議室の気配など、ほとんど 無意識のうちに頭の片隅に入れておきます。
いわゆる、第一印象と言うもので改めて言語化する事は難しい事柄です。
むしろ感覚的なもので「良い感じ」「嫌な感じ」程度のものです。
しかし、経営者とお話をして組織課題を聞いたり、事務所や倉庫や工場を 見せてもらう時に原因がどこにあるかが最初の印象と結びつく事は少なく ありません。
企業業績や成長の可能性はトータルとしてその企業が持っている「企業風 土」にあると言っとも過言ではありません。
企業担当者たちの言葉
親しいセールスマンや銀行員、会計事務所、帝国データバンクの調査員 の方々など普段企業訪問を生業とする方達から「嫌な企業」の特徴を聞 き出したことがあります。
「きちんと挨拶ができない」
「態度が横柄」
「会社が汚い」
「服装が乱れている」
「約束を守らない」
「表情が暗い」
「元気がない」
「会社や社員の悪口が多い」
「よく人が入れ替わる」….
ほぼこんな言葉が等しく聞かれます。
逆に「良い感じ」の企業については
「元気が良い」
「礼儀正しい」
「キビキビしている」
「綺麗で清潔」
「身だしなみがきちんとしている」
「明るい」
「素直」
「前向き」
「陽気」…..
という言葉が並びます。中には意欲的とか協力的といった言葉も聞かれ ました。
もちろん業績や利益などと必ずしも連動しているわけではありませんが、 目指すべき組織の一端をうかがわせるようです。
下品な会社
そうした会社の印象を聞き取る中で、ある銀行員とベテラン調査員の方が 「下品な会社」という表現をしました。
「下品な会社は大きくなれませんね」
「下品」の意味を尋ねると、損得だけの話、補助金の話、楽をする話、 他の会社や業界を羨むような話ばかりをすると答えました。
「業界や業種にかかわりなく、そうした会社は似たような人の集まりに なり、陰気な感じで次から次に人が辞めていきますね。
ベテランの方々なので企業の名前等は出しませんが、具体的な様子も話 してくれました。
彼らと同じように企業に関わる仕事をしているのでなんとなく言ってい る意味はわかります。
ただ私の場合は経営コンサルタントなので、コストと時間をかけてまで も会社を良くしたいと思っている意欲的な企業が多いのでそこまで積極 的に「下品さ」を意識する事はあまりありません。
話をしてくれた銀行員や調査員は、自分たちで訪問する企業を選べない ので、日々痛感していることなのかもしれません。
「下品」の原因を訊くと、2人ともまったく同じ事を言いました。
「経営者の【品格】の差ですね。
ト ップの【品格】の有り様が会社の目に見えない空気を作り出しています ね。建物の新しい古い店都会田舎は関係ないですね」
会社は「法人」
「企業は人と同じですから」とベテランの銀行員の方は言います。
法律上企業組織は法人として定義されます。つまり、個人と同じように権 利を所有し同時に義務を負います。
会社が第三者に対して、何らかの損害を与えた場合には保証しなければな りません。約束(契約)を破った時はそれなりの責任を負わねばならず、 事の軽重によっては刑事罰を受けます。
当たり前のことですか、そうしたことを自覚していない組織は、人材の育 成や組織改善などに無頓着ですし、目先の損得だけに執着し結果的になっ ていきますね
個人も組織も目には見えないもので構成されています。
古来「漢字社会」ではそれら目に見えないものをこのように呼びました。
天気、元気、人気、平気、本気、景気、気分、空気、色気、霊気、毒気、 活気、気質、病気、平気、強気、弱気、陰気、士気、気前、気迫、血気、 剛気、怖気、気脈、健気、殺気、覇気、気骨、正気、気楽、気丈、気構、 嫌気…。
文明が発達し世の中が便利になりました。会社に出かけなくても仕事がで きる、学校に行かなくても授業が受けられる、連絡はメールで簡単にでき る、新聞を見なくてもニュースが読める、お金が手元になくても買い物が できる、世界中に仲間がいる….。
しかし、親身になって物事を教えてくれる人がいるのか?何十年か経って 共に学んだ思い出話を交わせる友人がいるのか?自分が本当に困ったとき に助けてくれる仲間はいるのか?何よりも、激変する社会の中で共に戦い 助け合い、前に進む世代を超えた集団に所属しているのか?
コロナ禍も3年を過ぎようとしています。来年からは今まで停滞していた ことが、一気に進みます。
一度、個人と組織の「現在」を、原理原則に基づいて見つめ直す必要があ ります。
本年もお世話になりました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。
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